求人情報から業界動向を分析する
当然ではありますが、求人情報は現在企業が足らない人材を募集する情報です。
人が足らなくなる理由は、2つに分けられます。
1つは、人材流出による補充人員の採用の場合です。
もう1つは、新しいことに取り組むために必要な技術を持つ人員を採用する場合です。
大企業では比較的前者より後者が理由となることが多いため、大企業の求人情報から今後の業界動向を予測することができます。
例えば、自動車業界を取り上げます。
自動車業界では、数日前に大きな出来事がありました。
それは、トヨタ自動車がリースしか展開していなかったFCV(燃料電池自動車)を「MIRAI」として一般発売したことです。
FCVは、ハイブリッド車のようにガソリンも必要とせず電気自動車のように発電システムが無く走行距離が短いという課題をクリアし、究極のエコカーと言われています。もちろん水素スタンドが普及していない等の課題も多いと思いますが、自動車という製品の課題ではありません。
自動車の特に駆動技術は終焉に近づいているのではないでしょうか。
そんな自動車業界の求人は、以下の企業でした。
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アイシン精機
次世代HV/EVを世に送り出す開発エンジニア
新技術・新製品の開発に自ら積極的に関わる生産技術エンジニア
自動車の安全・快適・環境性能の向上を実現する電子系技術者
アイシン・エイ・ダブリュ
【製造技術開発】◆世界トップシェアを支えるエンジニア
【品質技術】世界中のクルマに搭載される世界初の品質を設計する
三菱自動車工業
生産技術/パワートレイン・組立・塗装・板金・溶接・法令監理等
自動車の設計・開発・試験【電子制御システム開発】
電動車(EV)開発:システム制御/モータインバータ・電池設計
自動車設計・試験:パワートレイン/エンジン・ドライブトレイン
自動車の設計・開発・試験【車両】
製造管理・品質管理・生産管理
東海理化
世界的シェアを誇る内装部品の【機構設計エンジニア】
デンソー
【回路設計経験を活かす】自動車製品開発
日立オートモーティブシステムズ
次世代自動車の機械設計(エンジン、ブレーキ、サスペンション)
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注目すべきは、三菱自動車を除く自動車メーカ本体の求人が無いことです。
三菱自動車は自動車技術に一歩出遅れていたことから現在挽回を図っていると予想しますが、その他の自動車メーカは究極のエコカー以上の新技術の開発に乗り出せていないのではないでしょうか。
では、自動車部品メーカ(特にグローバルサプライヤー)は求人が多数あるのはなぜでしょうか。
私は2つの理由があると考えています。
1つは、これまではあまりなかった生産技術や品質保証の求人があることから、既存製品のさらに品質向上に取り組むためです。
もう1つは、飽和状態にある日本の自動車技術を、エコカーでは劣勢な海外の自動車メーカへ売り込んでいるためです。
しかし、すでに品質の高い日本技術のさらなる向上にも限界はありますし、すでにある技術の販売も限界があります。
上記より、自動車業界では技術が飽和段階に来ていることで、私は今後の求人は減ると考えています。
上記のように、求人情報は行きたい業界の今後を分析する情報に使うこともできると考えています。
将来性の高い業界への転職をしたい場合は、自己分析をしてみてはいかがでしょうか。